【第3回】六条くるるの浅墓短歌講座

 みなさま、ごきげんよう。
 普通、誰かに何かを教える人間はそのために準備をすることで多くを学ぶと言いますが、僕は何も学んでいません。この講座のために準備も勉強もしていないのですから、当然ですね。
 そこで、今回は少しばかり勉強してみることにしました。また、講座の劇的な改善点としては今回から例として歌を引くことになったので、さっそく題材となる歌を。

   

ひばりひばりぴらぴら鳴いてかけのぼる青空の段直立つらしき(佐々木幸綱)

 *段=きだ 直=すぐ と読みます
   

なんだか冒頭からひらがなが続いているうえに漢字の読み方も難しいので、活字にすると読みにくい歌なのですが、音読してみると様々な技法が隠されている歌だとわかりますね。順番に見ていきましょう。

   

初句6音
 この短歌は初句6音です。普通の短歌の初句は5音ですが、初句6音くらいならやっている人が多いので、リズムが崩れていることがバレにくいです。ゆえに初句6音は何のためらいもなくやってしまって構いません。初句7音は「これは勇気の破調や……!」と自分を鼓舞できる人ならばどうぞ。
 ただ、初句6音でも音読してみるとなんだかモヤモヤするものがあって、そういうものは歌会とかの批評の場所でいちゃもんをつけられるので注意です。この短歌では「ひばり」という3音の言葉を繰り返すことによって、「これは繰り返しっていうか、そういうかたまりっていうか、なんつーかそういうもんだから一気に読めよ!」という雰囲気を押し付けて読ませるという高等テクニックが用いられていますので、そういった批判を受けることがありません。作者が大物なのは関係ない。

   

繰り返し
 同じ単語を繰り返すのは、上で述べたように、ずばばーっと読ませてリズムを押し通すためです。
 短歌では頭韻を揃えただけで褒められたりするので、同じ単語を繰り返せばもっと褒められるのは自明の理ですね。頭韻どころか全部揃ってるし。
 参考までに拙作を引いておきます。
「カフェインにつぐカフェインをカフェインにつぐカフェインを白い原稿(六条くるる)」

 

オノマトペ
 佐々木幸綱さんといえば、オノマトペが印象的なことで有名ですね。文献にもそう書いてある。
 詩をろくに読んだことがない人でも宮沢賢治くらいは読んだことがあって、その宮沢賢治が印象的なオノマトペを用いているものですから、一般人の頭の中には詩とオノマトペとの間に緩やかな連関を感じている人が多いです。文献にはそうは書いてない。
 これを利用し短歌にもオノマトペを取り込むことによって、自然と詩っぽさがアップするはずです。上記のテクニックと合わせて、オノマトペを繰り返しつつ初句6音とかにするといいかもしれません。あざとい。
   

 最後になりましたが、オノマトペを繰り返す場合は、オノマトペがひらがなやカタカナであるために歌を活字化したときにそれらの割合が増えてしまうことを考慮して、下の句なので漢字を多めにすることで全体のバランスを取るようにしましょう。
 見た目は大事です。ごちゃごちゃしてると読む気なくすから。
 それでは次回の講座までごきげんよう。

   

執筆者:六条くるる

(c)午前3時の六条会