似てるってそういうことですか

 僕、六条くるるは松山ケンイチに似ていると言われたことがある。
 そんな的外れなことを言う人もいるものだなあ、と内心呆れながらも初対面の人が相手だったので「そうですか? 言われたことないですねー」などといいかげんな返答をしていたのだけれど、最近、その言葉の真意に気付いて戦慄してしまった。そして泣いた。

 松山ケンイチという俳優は様々なテレビドラマ、映画、演劇に出演しているが、他の俳優に比べて漫画原作の作品に多く出演していることが特徴として挙げられる。
 彼がそういった境遇にいるのは、彼自身がオタクであることと無関係ではあるまい。なんていうか、好きなアニメは何かと聞かれて、当時は深夜アニメの本数も少なくマイナーだった時代に「ベターマン」と答えるのは普通じゃないよね。しかも明石家さんま相手に。

 そういうわけで、俳優業で多忙な今はいざ知らず、それなりにガチオタとしての過去を持つ松山ケンイチではあるが、彼にはいわゆるオタクという言葉から連想されるような負のイメージは感じられない。しかし、どことなく内向的な雰囲気がするあたりから彼が深夜アニメを見ている姿を想像できないこともないだろう。その程度のゆるやかな繋がりならばどうにか想像できるだろうか。

 ここで僕の脳内に電流が走る……ッ!
 初対面の僕に対して「松山ケンイチに似てますね。かすってるくらいですけど」と言ったあの言葉の意味は、そういうことだったのだ!
「オタクなの隠してるつもりかもしれないですけどバレてますよwww」ってそういうことだったのだ!

 泣いた。
 馬鹿にされたことよりもその皮肉に気付けなかったことが悲しかった。
 気の利いたことを言ってくれた相手に気の利いた返しをできなかった!!!!!!

 まあ、この話を友達にしたら「体型とか少しだけもっさりしてる感じが似てるんじゃない?」と言われたけど、そんな普通なことを言うのに松山ケンイチを例えに使うわけないだろうと思う。
 エスプリや! ワイはエスプリを拾い損ねたんや!

 執筆者:六条くるる

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