ロックスターはいつも不安

「おまえらー! 盛り上がってるかー!」
(イェーイ!)
「ん? 聞こえねぇな! もっとでかい声出せるだろ? 盛り上がってるかー!?」
(イェーイ!)

 こういったやり取りはロックのライブにおいて、曲と曲との間のMCでよく聞くことがあるものだと思う。
 ある種の慣例として儀式のように繰り返されているため、あまり疑問視されることはない。
 だが、ひねれくれすぎているせいでいよいよ千切れてしまいそうになっている六条くるるはそう思わない。

 ロックスターよ、おまえらそんなに何回も客が盛り上がっているか確認してるが、不安なのか…?

 このへんでさっさとエントリを終わってもいいのだけど、少しだけ追記をしておく。
 何度も、しかも客が大きな声を出してくれるまでしつこく盛り上がっているかどうかは、実際のところ確認するまでもない。
 だって、そんなん客席の様子を観察していればわかることやし。見ればわかることはわざわざ聞かない。

 だとすれば、何故聞くのか。先述したように、不安だからである。
 ロックとは言うまでもなく反社会的な行為であり、目の前に自分の味方である客が大勢いたとしても、それだけではロックスターの不安は消え去ることはない。大勢の観客の中に自分の反社会的な行為を咎める人が紛れ込んでいるかもしれず、その人によって自分の行いを妨害されるかもしれないからだ。
 そのため、ロックスターは秩序を守ろうとする人が自分の反社会的行為を妨害しないように牽制する必要がある。それは一人で実行するには荷が重いことであると同時に、自分が警戒していることを悟られないようにしなければならない。
 つまり、自分の味方である客に対して盛り上がっているかを確認することを繰り返すのは、自分が警戒していることを悟られないようにロックのライブにおいて使い古されているフレーズを用いて客を扇動することに他ならず、それは結果として、自身に対する敵が動きにくい状況をつくる作戦だったのだ!!!

 なんというか、ここまで800字も読ませてごめん。謝ったからゆるせ。

 執筆者:六条くるる

(c)午前3時の六条会