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音楽と宗教性

六条綾 音楽 コラム

 音楽と宗教の強い結びつきについては私が改めて書くまでもないことですが、この記事内での基本的な立場として、音楽は宗教儀式の中でその形式を発展させてきたということを最初に書きとめておく。

 そんな前置きはさておき、宗教音楽というと読者のみなさんは一体どういうものを想像するだろうか。教会の中に鳴り響くパイプオルガンの音を連想したりするだろうか。それも宗教音楽には違いないが、それは宗教音楽のコアとなる部分ではない。

 結論から言うと、宗教音楽のコアとなる要素は人間の声である。

 曲や楽器の音色によっても宗教音楽の目的、つまりは神への賛美を表現することはできるだろうが、より直接的にそれを達成するのは人間の声であり、言葉である。あらゆる音は、現象としては空気の振動といった物理的なこととして等価なのかもしれないが、それを人間が聞いた場合には事情が全く異なってくる。

 個人差がいくらかあるにせよ、人間の耳には可聴域があり、それはおおむね人間の声の周波数に合わせてチューニングされている。わかりやすく言うならば、人間は人間の声が聞きやすいような耳をしており、それ以外の音は聞きやすいとは限らないということだ。

 

 さて、人間の耳に届きやすいのが人間の声である以上、人間に最も影響を及ぼしやすい音は人間の声である、とも言える。ここで忘れてはならないのが、人間の声はあまり同時には聞かれないものである、ということだ。日常生活において、人間の声を同時に聞くのはせいぜい数人分でしかないため、それ以上の人数の声を同時に聞くことは極めて非日常的な行為になりうるのだ。

 すると、同じように非日常的な音であったとしても、パイプオルガンの音色よりも大人数による声のほうがより人間の耳に届きやすく、大きな影響を与えると考えられるため、音楽に宗教性を持たせたい場合はそちらをより意識した構成にするとよいだろう。

 

 というわけで、ここでOratorio The World God Only Knowsによる楽曲"God only knows"を紹介したい。この楽曲はオラトリオ、受難曲の形式を模して作られており、宗教音楽的なつくりを意識している。それは曲の構成だけではなく、人間の声に対する意識においてそうである。メインボーカル・コーラスを含めて50トラック以上を重ねて録音されており、さながら一人合唱団という感じだろうか。

 まーともかく8分間聞け!


God Only Knows 歌詞・和訳付き 【神のみぞ知るセカイOP】 - YouTube

 

 執筆者:六条綾

(c)午前3時の六条会