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ボーナストラックの位置がクールなCD3選

 CDにはボーナストラックが収録されている場合があり、それは単に末尾のトラックに収録されている場合がほとんどだろう。隠しトラックとして最後のトラックの末尾に無音部分をはさんでから収録されているか、あるいは数個の無音トラックのあとに収録されているケースもあるだろう。

 もちろん、世の中にはこの形式に当てはまらないクールな仕様になっている例がある。今回は筆者の手持ちのCDの中から他に類を見ない3枚のディスクを紹介させていただきたい。

 

1. BUCK-TICK『darker than darkness style 93』

 このアルバムにクレジットされているのは10曲のみだが、実は11曲目が隠しトラックとして収録されており、曲名を「D・T・D」という。おそらくこれはアルバムタイトルの頭文字を取ったもので、ノイズが鳴り響く中で少しずつ曲が始まっていくという変わった構成になっている。

 しかし、この曲がもっとも変わっているのが収録されているのが94トラック目だということだ。では、11~93トラックには何も収録されていなかったのかといえば、そうではない。4秒ずつの細切れのノイズがそれぞれのトラックに収録されていて、ぶつ切りの大量のノイズがシームレスに「D・T・D」へと繋がっていくという非常にコンセプチュアルな構成になっている。

 これ自体はとてもクールなのだが聴かされるほうは毎回ノイズ攻撃にさらされなければならず、リマスター版ではこの仕様はなかったことにされてしまった。

 

2. Nav Katze『gentle & elegance』

 DJなど他のアーティストによるリミックス音源がボーナストラックとして収録されるのはよくあることである。それは特典CDとして別のディスクとして提供されたり、あるいはオリジナル楽曲の後ろにまとめて収録されたりする。

 しかし、そんなルールに縛られないNav Katzeのこのアルバムはある意味でもっとも合理的な選択をしていると言ってもよい。

 M4の「happy」という曲の直後のM5に「happy? (qunk mix by autechre)」というリミックスが収録されていたりするのだ。他の2曲のリミックスもそれぞれの原曲の直後に収録されている。

 何の関心も示していないような温度の低さはNav Katzeの魅力の1つだが、リミックスにおいて自分たちの曲が素材として切り刻まれることにも興味がなさそうに曲順をただただ合理的に決定しているさまにもそれが表れているのだろう。

 

3. The Orion Experience『Cosmicandy』(日本版)

 はじめに断っておくと、このThe Orion Experienceというバンドはニューヨーク出身のパワーポップバンドである。男女混合で演奏力などがある一方でビジュアル面がいまいちという実家のような安心感がある。

 さて、ボーナストラックが普通ならば末尾に収録されているものであるという話は何度も繰り返したのでもういいだろう。原曲の直後に配置するためにアルバムの途中まで遡ってきた例も先ほど示したのでもういいだろう。

 改めて確認しておくと、ボーナストラックとはオマケであってメインではない。こういうことは言われなくてもわかっていることだと思う。しかし、このバンドはそれを無視した。このアルバムの日本版のボーナストラックは1曲目に収録されているのだ。

 おいまてふざけるな、と言いそうになってしまうが、そのボーナストラックのタイトルが「Nippon Ga Dai Suki」で、カタコトの日本語で一生懸命歌っているのを聴くと文句を言う気も失せてしまう。ほんと、誰か日本の音楽関係者の人、サマソニとか呼んであげてください……。

 最後に彼らのかわいくてださいけど演奏が巧いオフィシャルビデオを貼っておきますね。

 


NIPPON GA DAI SUKI (Japan We Love You!) THE ...

 

 執筆者:六条綾

(c)午前3時の六条会