【青春の一冊】青春とは手の届かない永遠のあこがれのことである

特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
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 自分の青春時代に読んだ本はたくさんあって、今の自分に多大なる影響を与えている本もたくさんあるのだけど、それがすべて「青春の一冊」かというとそれはちょっと違うと思う。

 青春18切符のように何歳になっても気持ちが青春ならば青春時代だと言うことはできるかもしれないけど、僕は青春は一瞬のきらめきの中にあって、もはや手の届かないものだと言いたい。その他の青春はすべて青春のリプレイであって、青春そのものではない。

 以上をふまえると、僕の青春の一冊は、荒木スミシ『グッバイ・チョコレート・ヘヴン』(幻冬舎、2001年)である。今でもこの本を面白く、楽しく、興奮しながら読むことはできるけど、それはどこか懐かしさの中にあって、当時の自分が受けたような衝撃が得られるわけではない。そういうわけで、現在の読後感は少し悲しい。

 

 最後に簡単に内容を紹介しておく。

 あらすじとしてはボーイミーツガールの逃走劇で、主人公の少しアンニュイな態度が作品の魅力になっていて、表紙の浅田弘幸さんのイラストのぴったりで素晴らしい。作者の荒木スミシは今ではインディーズ出版で色々やっている作家というイメージが強いかもしれないけど、そんな彼の青春時代の作品としても楽しめると思う。

 

 執筆者:六条くるる

(c)午前3時の六条会